10月27、28日のえねぱそ「おひさま発電所ツアー」
レポート後半お届けいたします。
1日目の施設見学を終えた後、私たちツアー参加者一行は
おひさま進歩エネルギー株式会社の代表取締役、原亮弘さんの
お話を伺いました。
市の施設の名前が「りんご庁舎」♪ この中でお話を伺います。ほのぼのかわいい名称 ですが、会議室等があるまじめな施設です! |
おひさま進歩の歩みを伺う参加者たち。 |
原さん。私が言うのもおこがましいですが 本当に地に足のついた方、懐深い温かな印象で 地域への熱い想いが伝わってきました。 |
お話を伺って、一番印象的だったのは
おひさま進歩と飯田市の行政との深い絆でした。
飯田市は人口約10万人と、非常に小さな街です。
(ちなみに横浜市は人口360万人を超える巨大都市。)
市内に大学がなく、若者が外へ出て行ってしまう問題や
空港も新幹線もないなど、アクセスの悪さもあって
「便利さ」では恵まれていない。
けれども、その分、厳しくも豊かな自然に恵まれ、
市民の自治、自助の精神が育まれてきたといいます。
飯田市では、早い段階から「環境」に目を向けていて、
1996年には「環境文化都市」を方針として掲げます。
以来、自分たちの地域、風土を守っていく政策を貫いてきました。
いわば、自然エネルギーが普及しやすいような土台があったわけです。
天竜川。本当に竜のごとき流れ。 美しい渓谷です。 |
山また山、、、、 南アルプス、中央アルプスに囲まれて。 |
2001年に、おひさま進歩の前身である、
「NPO法人南信州おひさま進歩」が発足したのも、
地域の公民館等での勉強会がきっかけだったそうです。
まず最初は、廃食油の処理の問題に取り組みがあり、
つぎに太陽光発電所設置についての検討がなされます。
幼稚園などの公共施設の屋根に太陽光パネルを設置するには、
施設の持ち主である飯田市に、その場所を借りる許可を
得なければなりません。
この許可を得るのが実はものすごく高いハードルだったとか。
「前例がない」ことを認めるのには時間がかかるのですね。
子ども達を預かる、保育するのが目的である施設を、
一法人、一企業が発電をするために貸すとはいかがなものか?!
ということで、かなり議論があった末、市長さんの英断により、
おひさま進歩に20年間無償で屋根を貸すことが認められました。
おひさま進歩の取り組みは、エネルギーの地産地消に繋がり、
地域の環境産業の育成や、子ども達への環境教育になり、これまでの市の方針とも一致するのが大きかったのだと思います。
さらに、この決断を後押ししたとも言えるのが、2004年の
環境省による「環境と経済の好循環のまちモデル事業」の募集です。
飯田市の「まほろば事業」が、このモデル事業として
採択されたため、国から補助金を得られることになったんですね。
補助金というと、なんだか悪いイメージもありますが、
飯田市の場合はこれを非常にいい方向に使うことが出来ました。
これを機に、NPO法人から、本格的に事業主体を担う
「おひさま進歩エネルギー有限会社」が設立(のち株式会社に)。
そして、補助金と市民の出資により、2005年の3月には
計画された38カ所の公共施設全てに太陽光パネルの設置が完了します。
(正確にいうと、最初の明星保育園はNPO時代の設置なので、
会社化されてからは37カ所)。
その後は、資金運用のための事業が展開されていくのですが
ここに、えねぱそも関わってくるんですよ〜。
こうして、官民共同のビジネスモデルが、周りの人の目に
見えるようになってくると、次第に、地元の銀行や信用組合からも
融資が決まったり、第2、第3のファンドが立ち上がり、、、と、
もちろん、その度に苦労があったわけですが、事業が順々に展開していって
現在では、120カ所以上の施設に太陽光発電所が設置され、
ファンド部門も独立した会社となりました。
2009年からは、個人住宅向けの「おひさま0円システム」も始まっています。
その後も、色々なモデル事業の採択を受け、官民が
協力しあってまちづくりをすすめてきた飯田市は
2008年、「環境モデル都市」にも指定されました。
環境モデル都市というのは、温暖化対策、低炭素化社会を
目指す取り組みをしている都市を、国が支援するというもので、
2012年現在、全国で13カ所の自治体が国から選定されています。
(実は横浜市も環境モデル都市なのでした!詳細気になる方は
こちらへ http://ecomodelproject.go.jp/ecomodel/ )
補助金の力、というのも確かにあったわけですが
本当に重要なのは、多様な主体が恊働しやすいように
制度やしくみを改革することなのだと、原さんはおっしゃっていました。
何事もそうかもしれませんが、最初の一歩。
他の自治体が応用できるようなモデルをつくったこと、が、
すごく重要なことなんだなと思いました。
一旦解散したのち、夕食兼交流会の一コマ。 地元食材をつかった料理に舌鼓。地酒も美味でした。 飯田で、自然エネルギーのお祭りみたいなものを企画 したらどうか?という提案があり、盛り上がっており ます!原さんのお隣は、飯田市役所の小林敏昭氏。 さんぽちゃんをデザインされた方です。 |
ツアー参加者の集合写真。2日目に見学した 「ゆいの里」の屋上にて。後ろに天を目指す松の木が! |
あざみ野ぶんぶんプロジェクトは、主婦が中心のボランティア活動。
まだまだ小さいものですが、この活動をしていなかったら、
ツアーに参加して、お話を聴くこともなかったわけで、
今回の旅は、私個人としては、大きな一歩でした。
前半、後半と2回に分けての拙いレポートではありましたが、
飯田市や、おひさま発電所、えねぱそ、およびぶんぶんの活動に
興味をもってくれる方が一人でも増えたらいいなと思います。
飯田のおひさま発電所へのツアーは、今後も開催されるはずなので
もし、機会があれば、参加してみてくださいね。
レポートでは触れられなかったのですが、
今回宿泊した「三宜亭」さんも、社長さんが非常にパワフルな方で
温泉熱と木質ボイラーを利用して、エネルギーをほぼ自給自足
できている先進的なお宿でした。
飯田市唯一の温泉で、銭湯の様にお風呂だけ利用することもできるので
市民からも愛されている様子がうかがえました。
温泉好きな方は、こちらにもぜひ。とってもいいお湯でした!
(文責:梅原あき子)